2025年4月13日(日)から2025年日本国際博覧会(略称は「大阪・関西万博」)が始まりました。期間は10月13日(月)までの半年間です。アラブ諸国からも十数カ国が参加しています。簡単ですが、アラブ諸国のパビリオンの様子をご紹介します。(文責Y・Y、5月22日・23日の情報です)
アラブ首長国連邦 アルジェリア イエメン エジプト
オマーン カタール クウェート コモロ サウジアラビア
ジブチ スーダ ソマリア チュニジア バーレーン
パレスチナ モーリタニア ヨルダン
夢洲(ゆめしま)駅からつながる東ゲートから比較的近い位置にあります。建物の内部がガラス越しに見えていて、大きな柱の森が来場者の興味を掻き立てます。これらはナツメヤシの木を模したもので、高さは16メートル、その数90本にも上るそうです。
UAE館のテーマは「大地から天空へ」。宇宙探査、医療革新、持続可能な未来を切り拓いこう、というメッセージが込められています。建物内部では、ナツメヤシを使った生活雑貨や織物などの伝統文化に加え、医療分野や宇宙についてタッチパネル付きの画面で紹介しています。子供たちが画面を楽しそうに触っていました。見学の後は、建物の左側にあるカフェとショップにもお立ち寄りを。
入口のところの壁にアルジェリアの地図があり、人口(1070万人)、通貨単位(ディナール)、大阪からの距離(10,655km)などが書かれています。来場者は、入場待ちの間にアルジェリアの基本情報を知ることができます。
アルジェリアの面積は238万平方キロで、日本の約6.4倍、現在アフリカで最大を誇ります。中に入ると、部屋いっぱいのスクリーンに映し出されるアルジェリアの様々な景色を堪能することができます。その部屋を抜けると、砂漠化への対応などを解説したパネルが並んでいます。
出口付近の壁にタッチパネルがあって、「アルジェリアはどんな分野に可能性があると思うか」といった質問と選択項目があり、来場者がパネルをタッチして自由に投票できるようになっています。
複数の国が集まっている「コモンズ館」という建物にブースを設けています。まるで現地のスーク(市場)が再現されたような雰囲気です。
壁や机の上にたくさんのアクセサリーが飾られています。素材やデザインが珍しいのか、多くの来場者が興味津々で集まっていました。お値段は要相談で。ブースの右端ではコーヒー(粉)と蜂蜜の販売も(つい買ってしまいました)。
「事前予約なしで入場可能」と聞いていましたが、行ってみると既に2時間待ち。その後何度か訪ねても同じく2時間待ち。結局入場をあきらめました。
入口付近には「並ぼうかなあ、どうしようかなあ」と思案中の人が何人も。エジプト人気、さすがです。
オマーンのパビリオンは、ひときわ目立つ赤色が目印です。建物の左側では民族衣装をまとった皆さんが時折音楽を奏でています。座る場所もあるので、音楽を聴きながら一息ついている親子連れやシニアの来場者もいました。
30分ほど並んで、いよいよ順番が回ってきました。水の廊下(Water Corridor)を抜けて暗い部屋へ。暫くすると、部屋いっぱいに紺碧の映像が。映し出されているのはクジラにウミガメにフクロウ。とても美しい空間でした。
オマーンには砂漠もありますが、山間部には緑もあります。次の部屋では、「水・大地・人」をテーマに、部屋いっぱいのスクリーンにオマーンの自然が映し出されました。出口にはカフェもあり、「デーツラテ」が絶品だそうです。
テントのような建物ですが、「カタールの伝統的な木造船・ダウボートを用いて、共に海の国であるカタールと日本のつながりを表現するパビリオンをデザインした」とのこと。正面からの写真では分かりにくいけれど、意外と奥行きがあります。
カタールは秋田県ほどの大きさの国です。建物内部では、海岸線に沿って点在する大都市、工業都市、自然保護区など、さまざまな土地の様子を展示しています。壁にかけられた青いカーテンにもカタール情報が散りばめられています。
波打つような屋根が特徴のパビリオン。「灯台」をテーマにしているとのことです。このクウェート館の注目は、砂漠の砂と、寝そべって眺める星空のプロジェクションマッピング、そしてアラブ料理。残念ながら注目度が高過ぎて、いつ行っても入場待ちの長蛇の列。残念ながら入れませんでした。(しかも左隣は中国館、右隣はブラジル館と、この付近は本当に人が多かったです。)
アフリカの南東部、マダガスカルの北方に位置し、グランドコモロ島、アンジュアン島、モヘリ島からなる島嶼国です。アラブ連盟にも加盟しています。ブースでは、コモロから来られた(と思われる)方が、来場者の質問に丁寧に答えていました。日本人スタッフもサポートしていました(手元には文字でびっしりの小ノートが。多分、コモロのために一生懸命準備されたのだと思います)。
コモロの注目点はやはり自然。テーブルの上にはたくさんの植物や鳥類の種類を説明した写真やイラストが並んでいます。ふと気が付くと、ブースの一角に人だかりができていました。なんと、アフリカ由来のボードゲーム、マンカラをやっていました(カラハとも呼ばれるそうです)。
個別国のパビリオンとしては日本館に次ぐ2番目の規模だとか。建物内に入るまでの道の途中も、まるでサウジの市街地にいるような雰囲気。そして展示コーナーでは、伝統文化、現代の音楽、技術、未来への青写真など、同国の過去・現在・未来をあらゆる側面から紹介していました。
個人的に驚いたのは、3Dプリンターで作られたサンゴです。壁にいくつもいくつも展示されていました。そして最後は、ムハンマド皇太子が推進中のNEOM計画の紹介です。未来に向けた壮大なプロジェクトです。
ジブチは、アフリカの角と呼ばれ、スエズ運河へ向かって多くの船が行き交う海運の要所にあります。増加する海賊被害への対処から、2011年、自衛隊の海外拠点が初めて置かれた国でもあります。といっても、一般の人々にはあまりなじみのない国。「どんなところだろう?」と、ブース奥の大画面の前で足をとめ、映像をじっくり見ている方もいました。
カラフルな色合いはアフリカならでは。壁に飾られた大きな写真はとてもインパクトがありました。
入口だけでなくも内部にも来場者がいっぱいでした。壁のスクリーンでは、自然や町や港、遺跡の風景だけでなく、機械化された農業などについても紹介されていました。スタンプ狙いの人もいますが、スクリーンの前に立ち止まって映像と解説文を見ている方もちゃんといました。
ブース内の右側の壁には何やらオブジェが並んでいます。良く見ると、人や動物の置物のほか、民族楽器が置いてありました。自由に試して良いそうで、来場者が「こんな感じかしら?」と少し戸惑いながら、ポンポーンと楽器を叩いて楽しんでいました。
現実はなかなか厳しい状況にあるソマリア、万博に参加してくれただけでも感謝です。壁に掲げられた解説ではアフリカの未来への希望が語られていました。その代表格はサッカーです。
スタンプラリー(1100円で専用のミニノートが売られている、スタンプパスポートという名前らしい)の効果もあって、ソマリアのブースにも多くの来場者が見られました。知らない国に触れてみる、それも万博の醍醐味の一つです。
入場して、砂漠の夜のような通路を進んだ先の部屋では、壁一面にチュニジアの歴史に貢献した人々の映像が次々と映し出されました。この中には14世紀に活躍したイスラム世界を代表する歴史家、イブン・ハルドゥーンの姿もありました。
壁に掛けられた明るい色彩のタペストリーを見ながら進むと、カフェとショップに辿り着きます。部屋の左側にある大きな丸テーブルでは、来場者がドリンクと軽食でリラックス。右側には見るだけでも楽しくなるカラフルな食器群やアクセサリー。その右側では、細かい模様を彫り込む作業を実演中!名前も彫ってくれるそうです。
たくさんの木でダウ船を表現した独特のパビリオンです。(ちなみに左隣はトルクメニスタンで、ここもある意味注目を集めています。)
最初にスタッフの説明を聞いた後、階段を上って様々な展示物を見学します。交易の歴史、真珠産業の歴史、そして未来につながるテクノロジー。交易の歴史では、運んでいた品物の匂いを感じてもらう工夫も。1階のカフェでいただいたデーツケーキは、しっとりふんわり、まことに美味でした。
パレスチナの暮らしの写真や器、民族衣装などが展示されています。見事な刺繍作品も展示されていて、じっくり観察する来場者もいました。
ブースでは民族舞踊やエルサレムの映像が壁やテーブルに設置されたスクリーンに映し出されています。一般の来場者に加え、修学旅行や社会科見学の学生さん達も訪れていました。
コモンズ館に入っています。建物の奥へ進み、やっとブースを見つけたものの、展示物が数点置かれているだけで何やら殺風景。「おや?」と思っていたら、通路の反対側にもう一つブースが。そこでは大きなラクダが来場者を出迎えていました。
ラクダの奥に向かって人の列が伸びています。その先にあったのは、砂! 砂の上の文字を手ですくっても形が崩れません。なんと、天井から文字を投影していました。
開幕当初から「砂漠の砂体験」が話題でした。TVがたくさん取り上げてくれたおかげで、長い入場待ちの列が。したがって、エジプトやクウェートと同様にここも入れませんでした(これはもう、いつか現地に行って体験するしかない、と気持ちを新たに)。
入口の左側に出口があり、ここにカフェとショップが併設されています。出入りは自由。中を覗くと、手前にカフェ(デーツシェーク、美味です)、その奥には、砂漠とラクダの絵を、色の違う砂を重ねて描いた小瓶がありました。ペトラ遺跡などで見られるお馴染みのお土産品です。カフェのカウンターでヨルダン館のスタンプも忘れずに押しましょう。とてもかわいいデザインです。